OpenAIの新モデル「o3-mini」とは

2025年2月7日

OpenAIは、新たな推論モデル「OpenAI o3-mini」をリリースしました。
本モデルは、低コストながらも高い推論能力を持ち、特にSTEM（科学・技術・工学・数学）分野での性能が向上しています。本記事では、「o3-mini」の特徴や使い方について紹介します。

OpenAI o3-miniとは

o3-miniは、OpenAIが開発した新しい小型推論モデルで、従来の「o1-mini」に比べて高速かつ高精度な応答が可能です。
また、o3-miniはo1と比べても推論精度や演算能力の面で大きな向上を遂げています。
特に、数学競技（AIME）やPhDレベルの科学問題（GPQA）においては、o1を上回るスコアを記録し、より高度な問題に対しても正確な回答を提供できます。
さらに、競技プログラミング（Codeforces）ではEloスコアが向上し、より複雑なコード生成やアルゴリズム設計の支援が可能になりました。
加えて、ソフトウェア開発の分野（SWE-bench）においても、o1と比較して優れた性能を発揮し、実用的な開発タスクの自動化やバグ修正の精度向上が期待されます。

指標	o1-mini	o1	o3-mini（中推論）	o3-mini（高推論）
AIME（数学競技）	63.6	83.3	79.6	87.3
GPQA（PhDレベル科学）	60	78	76.8	79.7
Codeforces（競技プログラミング）	1650 Elo	1891 Elo	2036 Elo	2130 Elo
SWE-bench（ソフトウェア開発）	–	48.9	42.9	49.3

OpenAI o3-miniの主な特徴と機能

o3-miniの主な特徴と機能として以下の点が挙げられます。

高い推論能力
o3-miniは、数学、科学、プログラミングといった複雑なタスクにおいて優れた推論能力を発揮します。特に、論理的な問題解決やコーディングタスクにおいて、従来モデル（o1-miniなど）を上回る性能を示しています。
高速かつ効率的な処理
o3-miniは、o1-miniと比較して約24%高速な応答を実現しており、低レイテンシーでスムーズなユーザー体験を提供します。
コスト効率の向上
小型モデルでありながら、性能とコストのバランスが取れており、特に中小企業や個人開発者にとって魅力的な選択肢となっています。
柔軟な推論レベルの選択
ユーザーは「低」「中」「高」の3段階の推論レベルを選択可能で、タスクの複雑さや速度の優先度に応じて調整できます。
無料ユーザーへの提供
o3-miniは、OpenAIの推論モデルとして初めて無料ユーザーにも利用可能となり、ChatGPTの「Reason」オプションを選択することで試すことができます。
関数呼び出し（Function Calling）
o3-miniは、コード内の関数を呼び出す機能をサポートしており、開発者がより効率的にタスクを実行できるよう設計されています。
構造化出力（Structured Outputs）
JSONスキーマに準拠した構造化されたデータ出力が可能で、データ処理や統合が容易になります。
開発者向けメッセージ（Developer Messages）
開発者がモデルの挙動を制御しやすくするための特別なメッセージ機能を搭載しています。これにより、プロンプトエンジニアリングやデバッグが効率化されます。
検索機能の統合
o3-miniは、関連するWebソースを検索し、リンク付きの最新情報を提供する機能を備えています。これは、推論モデル全体に検索を統合する初期プロトタイプとして位置づけられています。
STEM分野での強み
特に科学、数学、コーディングにおいて、他のモデルを凌駕する性能を発揮します。これにより、教育や研究、技術開発の分野での利用が期待されています。

o3-miniの料金

OpenAIの最新推論モデル「o3-mini」は、APIとChatGPTで利用可能です。

ChatGPTでの利用

無料プラン:
無料ユーザーも「Reason」オプションを選択することで、o3-miniを試すことが可能です。
ただし、利用には一定の制限があります。
有料プラン:
- Plusプラン（月額$20）およびTeamプラン（月額$25）: 1日あたり最大150メッセージまで利用可能。これは、従来のo1-miniの3倍のレート制限です。
- Proプラン（月額$200）: 無制限で利用可能。