OpenAIは2025年6月10日、最新のAIモデル「OpenAI o3-pro」を発表した。同日より、ChatGPTのProおよびTeamユーザー向けに提供が開始され、APIを介した利用も可能となっている。
「o3-pro」は、同社が展開する最も高度なモデルである「o3」をベースに設計されており、特に数学、科学、プログラミングといった高度な知識が要求される領域での活用を想定している。従来モデルである「o1-pro」の後継となる本モデルは、複雑な問題に対してより長時間考え、信頼性の高い回答を提供する能力が特徴だ。
専門家による評価テストによると、「o3-pro」は科学、教育、プログラミング、ビジネス、文章作成支援など、多岐にわたる分野で既存の「o3」を上回る結果を示した。特に、明確性、包括性、指示順守性、正確性の各評価項目で一貫して高評価を獲得している。また、同社が実施する厳密な評価手法「4/4 reliability」（4回連続で正解することを求める評価）においても、「o3-pro」は従来モデル「o1-pro」と「o3」を大きく凌駕している。
また、「o3-pro」はツールを利用した複雑な作業が可能であり、ウェブ検索、ファイル解析、画像や視覚情報を用いた推論、Pythonの実行、メモリ機能を利用したパーソナライズされた応答など、多彩な機能を備えている。ただし、これらの機能を駆使するために応答時間が従来のモデルより長くなることから、速度よりも回答の正確性や信頼性を重視する利用シーンでの活用が推奨されている。
一方、技術的な制約も明らかになっている。現時点で「o3-pro」では一時的なチャット機能が利用できず、画像生成およびCanvas機能にも未対応だ。画像生成を行いたいユーザーは、「GPT-4o」、「OpenAI o3」、「OpenAI o4-mini」などの別モデルを使用する必要がある。
今後、EnterpriseおよびEduユーザー向けにも順次提供が拡大される予定であり、今回のリリースによりOpenAIのAIモデルがさらに広範囲に活用されることが期待される。
引用
