今回は5月4日にMicrosoftが一般公開した、Bingに搭載されたAIチャットシステムとChatGPTの違いについて解説していきます。
BingのAIとChatGPTはどちらも人工知能(AI)を使ってユーザーと会話ができるチャットシステムですが、その仕組みや特徴は異なります。
この記事では、BingのAIチャットとChatGPTの違いについて比較してみました
参照元の有無
BingのAIチャットでは、ChatGPTには搭載されていない情報の参照元の表示機能があります。
下記が例としてBingのAIチャットとChatGPTに「ChatGPTとは?」と質問した場合の回答です。
ChatGPT
BingチャットAI
この例からわかるように、BingのAIチャットは回答に加えて参照元の表示機能を提供しています。
この機能は、ユーザーが情報の信頼性や正確性を確認するために役立ちます。
ChatGPTは参照元の表示機能を持っていないですが、BingのAIチャットが参照元のデータを引用する形で回答するのに対して、ChatGPTは文脈にあわせてより自然な形で回答してくれます。
搭載されている言語モデル
BingのチャットAIはGPT-4という大規模言語モデル(LLM)を搭載しています。
GPT-4はテキストだけでなく、画像や音楽や動画など様々な種類のデータを学習しています。
BingのAIチャットはGPT-4とBingの検索技術を組み合わせて、ウェブ上の最新情報を参照しながら回答します。
同社はこの技術をMicrosoft Prometheus(プロメテウス) モデルと呼んでいます。
ChatGPTは無料版ではGPT-3.5という大規模言語モデル(LLM)を搭載しています。
GPT-3.5はテキストデータを学習しています。
ChatGPTはGPT-3.5の学習済みモデルを利用して、自然な会話を生成します。
また同社のChatGPTの有料サービスChatGPT PLUSではGPT-4を利用可能です。
料金
Bingに搭載されているAIチャットとChatGPTは共に無料で利用できます。
ただしChatGPTはGPT-4の利用とGPT-3.5に優先的にアクセスできる、有料プランのChatGPT PLUSを20$で提供しています。
会話能力
BingのチャットAIとChatGPTでは会話を読み取る能力にやや差があります。
ChatGPTでは前の会話に合わせて内容を生成しようとするのに対して、BingのチャットAIはそれほど前の会話に焦点を当てず、短期的な応答に主に重点を置いています。
これは、会話の流れや文脈を保持する際にChatGPTの方が優れた結果をもたらすことが多いことを意味します。
下記は例としてChatGPTを題材にブログの投稿内容を考えさせた例です。
BingチャットAI
ChatGPT
ChatGPTでは題材にあわせて内容を生成していますが、BingのチャットAIは全く別の案を提案しています。
最新情報の参照
ChatGPTは、2021年9月までのデータセットで学習しています。
一方、BingのチャットAIは、Bing検索エンジンと連携しているため、最新の情報やニュースを取り入れることができます。
下記は例として「日本の総理大臣を教えて下さい」と質問した場合の回答です。
BingチャットAI
ChatGPT
BingのチャットAIでは正しい回答が得られていますが、ChatGPTでは学習データから現在の日本の総理大臣はお伝えできないとしています。
まとめ
下記が主なBingのチャットAIとChatGPTの違いです。
BingAI | ChatGPT | |
---|---|---|
提供元 | Microsoft | OpenAI |
参照元の有無 | 有 | 無 |
言語モデル | Microsoft Prometheus (GPT-4+検索エンジン) | GPT-3.5 GPT-4(※有料プラン) |
会話能力 | 短期的な応答を重視 | 会話や文脈の流れを重視 |
最新情報の参照 | 最新情報を参照可 | 2021年9月までの情報 |
料金 | 無料 | 一部有料 |
得意分野 | Web情報の検索 | 文書生成 タスクの処理 自然な会話 |
BingのチャットAIは用途としてはWeb情報の検索に強く、ChatGPTはチャットAIで幅広いタスクをこなしたり自然な会話が出来るという印象です。
どちらも得手不得手あるので目的にあわせて利用するのが良いと思います。