Anthropicは5月2日、AIアシスタント「Claude」における大規模な機能強化を発表しました。新たに導入された「Integrations」機能により、Jira、Confluence、Zapier、Intercomなど主要なSaaS 10種類とのネイティブ連携が実現。これにより、Claudeはプロジェクトの履歴やタスクの進捗状況を把握したうえで、複数のツールをまたいで自律的にアクションを実行できるようになります。
さらに、調査機能「Advanced Research」も大幅に強化され、従来のWebやGoogle Workspaceに加え、連携済みの業務ツールを含むデータソース全体を対象とした横断的な検索が可能となりました。最大45分間にわたる自動調査の後、引用元を明示したレポートを生成することができます。
Integrations:MCPがクラウド対応、より柔軟な外部接続を実現
「Model Context Protocol(MCP)」は、AIと外部のツールやデータを接続するためのオープン標準として昨年発表されました。これまではローカルサーバー経由での利用に限られていましたが、今回のアップデートにより、Claudeはインターネット越しにリモートMCPサーバーとの連携にも対応。開発者は約30分で独自の連携環境を構築でき、ユーザーはClaude DesktopおよびWebアプリ上の設定から複数の外部サービスを自在に接続できます。
各連携の具体的な活用例は以下の通りです:
- Zapierとの連携:HubSpotの営業データ取得やカレンダー情報を基にした会議準備を自動化。
- Atlassianとの連携:Confluenceページの要約および一括生成、Jiraチケットの複数作成を対話形式で実行。
- Intercomとの連携:ユーザーからのフィードバックを分析し、Linearにバグを自動登録。修正状況のフィードバックまで一貫して対応。
このように、Claudeは単なるチャットボットを超えた「AIエージェント」として、タスクの起案から実行、進捗管理までを一元的に担う存在へと進化しています。
Advanced Research:最大45分の深層リサーチが可能に
3月に導入された「Research」機能は、今回のアップデートでさらに進化しました。新たに「Integrations」を通じて接続された社内データも調査対象となり、ボタンをワンクリックするだけで、Claudeが指示内容を細分化し、数百件に及ぶ内部・外部の情報源を対象に調査を実施。通常は5〜15分程度、複雑な調査では最大45分で、出典元を明記した網羅的なレポートを生成します。研究メモの作成、マーケットリサーチ、ナレッジマネジメントなど多用途に活用可能です。
提供プランおよび今後の展開
今回の「Integrations」および「Advanced Research」機能は、Max、Team、Enterpriseプランにてベータ版として提供中であり、今後Proプランにも順次展開される予定です。また、Web検索機能はすでに有料プラン全体に対してグローバルで提供が開始されています。
Anthropicは、データ接続時の暗号化処理やアクセス権限の制御など、セキュリティおよびプライバシーに関する詳細情報をヘルプセンターで公開しています。将来的には、StripeやGitLabとの連携も予定されており、Claudeを中核とした“AI主導型の業務基盤”の拡張がさらに加速することが期待されます。
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