AMD、新世代GPU「Instinct MI350」シリーズ発表 AIとHPC分野を加速

AMDは2025年6月12日、最新のAI・HPC(高性能コンピューティング)向けGPU「AMD Instinct MI350」シリーズを正式に発表した。MI350シリーズは、従来世代から最大4倍のAI演算性能、推論処理では最大35倍の飛躍的な向上を実現し、AI・機械学習分野における新たなマイルストーンとなる。

今回発表されたMI350XおよびMI355X GPUは、最新のCDNA 4アーキテクチャを採用し、最大288GBのHBM3Eメモリ(MicronおよびSamsung製)と最大8TB/sのメモリ帯域を搭載。これにより大規模な生成AI(GenAI)やディープラーニングのトレーニング、推論において圧倒的なスループットを実現する。特に、最大64基のGPUを空冷ラックで、最大128基を液冷ラックで運用可能となり、FP4/FP6では2.6エクサFLOPSという業界屈指の性能を発揮する。

同時に、オープンソース指向のAIソフトウェア基盤「ROCm 7.0」も発表された。ROCm 7.0は従来比で推論性能が4倍、トレーニング性能が3倍向上し、LLAMAやDeepSeekなど主要な大規模AIモデルにも即日対応。1.8万以上のHugging Faceモデルもサポートし、より幅広い開発者・企業が次世代AIインフラを迅速に構築できる環境が整った。

さらに、AMDは次世代「Instinct MI400」シリーズと、MI400 GPU・EPYC “Venice” CPU・Pensando “Vulcano” NICを統合したラック型AIインフラ「Helios」のプレビューも公開。MI400は最大432GBのHBM4メモリと19.6TB/sの帯域を備え、2026年の市場投入を予定している。

これらの新製品は、クラウドサービス大手やDell、HPE、Supermicroなど主要OEM各社を通じて順次提供される予定だ。ROCmを核とするオープンなソフトウェア・エコシステムと強力なGPUハードウェアの組み合わせにより、AIとHPC領域における開発・運用の自由度と拡張性が飛躍的に向上する見通しだ。

AMDは、「顧客が求めるのはスケーラブルで実運用可能なAI基盤。その期待に応え、業界の新基準を提示する」と強調している。今後はHeliosアーキテクチャを軸に、AI研究からエンタープライズ運用まで幅広い領域で革新的なソリューションを提供し続ける方針だ。

引用

https://www.amd.com/en/blogs/2025/amd-instinct-mi350-series-and-beyond-accelerating-the-future-of-ai-and-hpc.html
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