IBMは2025年2月26日、最先端の人工知能モデル群『Granite 3.2』を発表した。Granite 3.2は推論能力やマルチモーダル対応を強化した次世代のモデルであり、IBMが進めるAI技術の実用性と効率性を追求した結果となっている。
新モデルで特に注目されるのが『Granite 3.2 Instruct』シリーズだ。特にGranite 3.2 Instructの8Bモデルと2Bモデルでは、チェーン・オブ・ソート（思考連鎖）推論を実験的に搭載。これにより、小規模なモデルでも、複雑な指示への対応能力が向上し、より大規模なモデルであるGPT-4oやClaude 3.5 Sonnetを上回る推論性能を発揮している。さらに、この推論プロセスはユーザーがオン／オフ切り替え可能で、必要な場面のみで効率的に計算リソースを活用できる。
また、新登場の『Granite Vision 3.2 2B』は、画像とテキストを同時に理解できるIBM初のマルチモーダルモデル。特に文書理解の精度に特化しており、大型のオープンモデルに匹敵する性能を実現している。
さらに、Graniteの時系列予測モデルも進化。『Granite Timeseries TTM-R2.1』では、新たに日次および週次の予測が可能になり、ビジネスの実務的な予測用途での利便性が拡大した。このシリーズは極めてコンパクトな設計ながら、競合する数百倍のサイズのモデルを上回る予測精度を達成し、注目を集めている。
安全性や効率性を担う『Granite Guardian 3.2』シリーズも刷新され、特に新たに導入された「Granite Guardian 3.2 5B」と「3B-A800M」は、モデルのパラメータを削減しつつも従来モデルに迫る性能を保持。さらに新たに導入された「verbalized confidence」機能では、安全性に関するリスク検知時に「高」「低」といった自信度も表示可能になった。
また、新登場のスパース埋め込みモデル『Granite Embedding』は、検索やランキングタスクに特化。特に短文の処理において高速で直感的な利用を実現し、企業の検索・ランキングシステムなどでの採用が期待されている。
Granite 3.2シリーズはすべてオープンソース（Apache 2.0ライセンス）として、IBM watsonx.ai、Hugging Face、Ollama、LMStudio、Replicateといった各種プラットフォームで公開中。IBMは今後も推論能力を軸にさらなる最適化や進化を進め、AI技術の産業利用を加速させていくとしている。
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