ChatGPT登場以降、さまざまな企業でジェネレーティブAIの活用が進んでいます。
今回は製造業でのジェネレーティブAIの活用事例を7つ紹介しようと思います。
製造業活用例7選
AIとの対話で3Dモデル生成:VUILDが新ツール「EMARF AI」を開発
VUILD株式会社は、木材のクラウドプレカットサービス「EMARF」において、ChatGPTを活用した新たなツール「EMARF AI(仮称)」の開発を発表しました。
このツールは、AIとの会話を通じて3Dモデルを生成することが可能で、設計スキルがないユーザーでも、自身が想像するものを3Dモデル化することが可能となります。
また、生成された3DモデルはEMARFでの加工依頼が可能な段階まで開発が完了しています。これにより、設計スキルがない方でも、自身のイメージを具現化することが容易になります。
ChatGPTによるロボットアーム操作と複雑なタスクの実行:Microsoft
Microsoftの研究チームがロボットアームの操作において、ChatGPTを活用した研究を公開しました。
ChatGPTとの会話によるフィードバックを通じて、提供されているAPIを自らがコーディングし、より高度な関数を生成しています。
さらに、指示に対して学習したスキルをもとに、ブロックの積み上げなどの操作を行うことが可能になりました。
動画では”マイクロソフトのロゴを積み木で作る”という課題を実行しています。
生成的AIを活用して産業生産性を向上:SiemensとMicrosoft
SiemensとMicrosoftは、製品の設計、エンジニアリング、製造、運用のライフサイクル全体でイノベーションと効率を推進するために、産業分野での生成AIでの協業を発表しました。
この協業により、Siemensの製品ライフサイクル管理(PLM)のためのTeamcenter®ソフトウェアとMicrosoftのTeamsとAzure OpenAI Serviceの言語モデル、および他のAzure AI機能と統合するとしています。
また、エンジニアがプログラム可能なロジックコントローラ(PLC)のコード生成を加速するための協力も進めています。
3Dプリンティングの知識を集約:AuthentiseがChatGPTを活用したデータベース「3DGPT」を無償提供
エンジニアリングと製造業向けのワークフローソフトウェア企業、Authentiseが、OpenAIの「ChatGPT」を活用したAdditive Manufacturing(AM)知識の総合データベース「3DGPT」を無償で提供開始しました。
このデータベースに登録することで、ユーザーはAdditive Manufacturing(AM)に関する12,000以上の規格や雑誌記事に無料でアクセス可能となります。
また、「3DGPT」は3Dプリントに関する一般的な質問から専門的な質問まで、あらゆる質問に対して業界知識に基づく洞察に満ちた回答を提供します。
生成AIとAEIの結合で品質・生産性を大幅改善
「生成AIとAEIを組み合わせて製造業の品質・生産性を向上」では、株式会社プラスゼロとアビスト社が、人間の意味理解に匹敵するAEIと、生成AIを用いて、製造業の品質管理と生産性の向上を目指す新しいアプローチを発表しました。
具体的には、AEIを活用した品質検査項目の標準化や、生成AIによる3D-CAD設計の初期案自動生成が可能となります。
車両設計向けAI技術革新:デザインとエンジニアリングの融合
トヨタ研究所は、、車両設計に特化した画期的な生成型人工知能(AI)技術を発表しました。
この技術は、車両のデザインとエンジニアリングを統合する新しい手法を提供し、自動車設計のプロセスを革新します。
この新しい生成型AI技術により、設計者は初期段階で画像を生成し、設計のアイデアを形にすることが可能になります。
特に注目すべきは、設計者が初期スケッチやエンジニアリングの制約を直接プロセスに組み込むことができる点です。
これにより、デザインとエンジニアリングの調和を図り、反復作業を減らすことが可能になります。
IoTデータ分析:ChatGPTを活用した「SORACOM Harvest Data Intelligence」
株式会社ソラコムは、この新機能は、IoTデバイスから収集されたデータをChatGPTを利用して分析し、異常値やトレンド、特徴的な要素を自然言語で解説し、対話的に分析することが可能です。
あとがき
製造業は、ChatGPTなの生成AIの活用が難しい分野ではありますが、さまざまな分野で活用が模索されています。
今後、設計やデータ分析、マニュアル作成など活用がしやすい分野から、生産設備の制御や品質管理などのより技術的な分野へと適用範囲が広がっていくことが予想されます。
AIの能力を活用すれば、絶えず変化する市場の動向を予測し、それに対応する新しい製品を素早く設計・製造することが可能となるでしょう。