2025年9月30日にマイクロソフトは、Microsoft 365 Copilotに新たな機能として、Excel/Word向けの「Agent Mode」と、CopilotチャットからPowerPointやWordを生成する「Office Agent」を発表しました。
同社が掲げる「vibe working」のビジョンのもと、高度な推論モデルを活用し、ユーザーが意図を伝えるだけで多段階の作業を自動で編成する”人×エージェント協働”をOffice作業に実現します。
Agent Modeは、Excel/Wordのアーティファクト(数式、スタイル、段落構造など)を深く理解し、単なる出力にとどまらず、結果の評価やエラー修正まで反復的に実行します。
表計算タスクのベンチマーク「SpreadsheetBench」では、ExcelのAgent Modeが57.2%の正答率を達成し、他のエージェントを上回る性能を示しました。
Agent Modeの機能
Excel Agent Mode
ExcelのAgent Modeは、ネイティブに数式を選択・生成し、以下の機能を提供します:
- シートの追加
- データの可視化
- 検算ログの提示
- エラーの自動修正
- 対話的な修正プロセス
Word Agent Mode
Wordでは、以下の作業を対話的に実行します:
- 要約・書き換え
- 体裁の統一
- 見出しのスタイル自動適用
- 強調表示の自動化
- 報告書・議事録作成の支援
Office Agent
CopilotチャットのOffice Agentは、Anthropicのモデルを活用し、以下のプロセスを通しで実行します:
- 意図確認 – ユーザーの要求を正確に理解
- Webリサーチ – 必要な情報を収集
- ドラフト生成 – PowerPointやWordを作成
- 品質チェック – 出力の検証と改善
スライドのライブプレビュー機能も提供され、リアルタイムで進捗を確認できます。
新機能は段階的に展開されます:
Excel Agent Mode
- Microsoft 365 Copilot契約者および Personal/Family向け「Frontier」プログラムで開始
- まずはWeb版(Excel Labsアドイン経由)から提供
- デスクトップ版は順次拡大
Word Agent Mode
- Web版から展開開始
- 展開スケジュールはExcelと同様
Office Agent
- 米国のPersonal/Familyユーザーを皮切りにロールアウト
- Copilot(Web版、英語)で利用可能
Agent ModeとOffice Agentにより、Excelのモデリングや月次レポート、Wordの報告書・議事録作成が、これまで専門知識を必要としていた作業でも、より多くの人が取り組めるようになります。
現状の精度は57.2%という水準であり、高リスク業務では依然として人による検証が前提となります。業務テンプレート化とレビュー手順の整備を並行させることが重要です。

モデルの最適化
MicrosoftはCopilot StudioでAnthropicモデルの選択肢も拡充しており、用途に応じたモデル最適化も進む見通しです。これにより、さまざまな業務シーンに最適なAIモデルを選択できるようになります。
Agent ModeとOffice Agentは、Officeワークの主工程を「指示→自動編成→対話的修正」へと再設計する第一歩です。
まずはFrontierプログラムで試用し、業務テンプレート化とレビュー手順の整備を並行させることで、早期の生産性向上とリスク管理の両立が期待できます。
引用
Vibe working: Introducing Agent Mode and Office Agent in Microsoft 365 Copilot | Microsoft 365 Blog