2025年9月12日にAI開発企業のAnthropic社は、対話型AI「Claude」に会話履歴を記憶する「メモリー機能」と、プライバシーを保護する「シークレットチャット」機能を近日中にリリースすると発表した。これらの機能は現在最終段階のテストに入っており、まもなく展開される見込みだ。
プロジェクトごとに独立した記憶領域
新たに実装されるメモリー機能の最大の特徴は、「プロジェクトスコープ型メモリー」と呼ばれる仕組みだ。各プロジェクトが独自の記憶領域を持ち、それぞれのコンテキストを独立して維持できる設計となっている。
例えば、マーケティングチームが複数のキャンペーンを同時進行している場合、各キャンペーンの詳細情報や過去の議論を個別に記憶し、プロジェクト間での情報の混在を防ぐことができる。これにより、長期にわたるプロジェクトでも、過去の文脈を失うことなく作業を継続できるようになる。
ユーザーによる完全な制御が可能
メモリー機能は完全にオプション制であり、ユーザーが細部まで制御できる設計になっている。設定画面では以下の操作が可能:
- 保存されたメモリーの完全な内容を確認
- 不要な記憶を個別に削除・編集
- Claudeに記憶すべき情報や無視すべき情報を指示
- メモリー機能自体のオン・オフ切り替え
ChatGPTとは異なる設計思想
ClaudeとChatGPTのメモリー機能は、全く異なる設計思想に基づいている:
ChatGPTのアプローチ:
- ユーザープロファイルを自動的に構築
- 常時アクティブなメモリーシステム
- パーソナライゼーションを自動化
- 一般消費者向けの「シームレスな体験」を重視
Claudeのアプローチ:
- 毎回白紙の状態から開始
- ユーザーが明示的に要求した時のみ過去を参照
- プライバシーとコントロールを優先
- 開発者・専門職向けの「予測可能な動作」を重視
プライバシー保護の「シークレットチャット」
同時に発表された「シークレットチャット」(インコグニートモード)は、会話内容が一切保存されない完全プライベートな対話機能だ:
- チャット履歴に記録が残らない
- メモリー機能に情報が保存されない
- AIモデルの学習にも使用されない
提供プランと展開予定
メモリー機能の提供予定:
- 8月11日時点で、Enterprise、Team、Maxプラン向けに段階的展開を開始
- Proプランやその他のプランは順次対応予定
- 無料プランへの提供時期は未定
シークレットチャット:
- 全プランで順次展開予定
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