概要
kintone(キントーン)のプロセス管理機能は、サイボウズ株式会社が提供するクラウド型業務改善プラットフォーム「kintone」に搭載されている、承認ワークフローを設定できる機能です。複数のユーザーでレコードの編集や確認をするためのプロセスを設定でき、申請から承認までの一連の業務を効率化できます。
この機能は、kintoneが2011年にリリースされて以来、ユーザーからの強い要望を受けて開発された機能の一つです。
2025年7月には、kintone AIラボにて「プロセス管理設定AI」の提供も開始され、AIとの対話によってより簡単にプロセス管理の設定が行えるようになりました。
従来のアナログな書類と印鑑による承認プロセスをデジタル化し、業務のスピードアップと効率化を実現します。
主な特徴と機能
kintoneのプロセス管理機能の最大の特徴は、ノーコードで承認フローを設定できる手軽さです。プログラミング知識がなくても、直感的な操作で複雑なワークフローを構築できます。
ステータス管理機能
「申請中」「上長承認」「部長承認」「完了」といったステータスを自由に設定可能です。各ステータスで誰が何をするかを明確に定義でき、業務の流れが可視化されます。2025年6月のアップデートでは、作業者以外のユーザーが実行できるアクションも別途設定できるようになり、柔軟なワークフロー設計が可能になりました。
条件分岐機能
申請内容に応じて承認ルートを自動的に変更できます。例えば、経費申請において「10万円未満は部長承認」「10万円以上は役員承認」といった金額による分岐設定が可能です。この機能により、申請内容に応じた適切な承認レベルを自動判定できます。
通知機能
自分が作業者に指定されたレコードについて「自分宛」の通知が自動的に届きます。メール通知設定により、kintone外でも承認依頼を確認でき、承認の遅延を防止できます。また、kintoneのポータル画面には未処理の作業タスク数がアプリごとに表示され、対応すべき業務を一目で把握できます。
履歴管理機能
「ステータスの履歴」から、いつ誰が承認したかの経緯を詳細に確認でき、監査証跡としても活用できます。この機能により、承認プロセスの透明性と責任の所在が明確になります。
プロセス管理機能の利用方法
kintoneでプロセス管理機能を設定した手順をご紹介します。
今回は項目が2つだけのシンプルな経費申請アプリを例に、基本的な承認フローを構築しました。

1. プロセス管理の有効化
まず、対象アプリの「設定」タブから「プロセス管理」をクリックします。プロセス管理機能を初めて利用する場合は、機能の有効化が必要です。「プロセス管理を有効にする」をクリックして機能を開始します。

2. ステータスの設定
次に、承認フローに必要なステータスを設定します。経費申請では以下のステータスを作成しました:
- 未処理
- 上長確認
- 完了

3. 動作確認
設定完了後、実際にレコードを作成して動作を確認します。
申請者の画面 レコード作成時は「未処理」ステータスで、画面上部に「経費申請」ボタンが表示されます。

申請ボタンをクリックすると、ステータスが「上長確認」に変わり、承認者に通知が飛びます。
承認者の画面

承認者がレコードを開くと、「完了」のボタンが表示されます。内容を確認して承認すると、ステータスが「完了」となり、申請者にも完了通知が届きます。


おわりに
今回はkintoneのプロセス管理機能を使って、シンプルな経費申請の承認フローを構築してみました。ノーコードで直感的に設定できるため、IT専門知識がなくても30分程度で基本的なワークフローを実装できることが確認できました。
次回移行では、より複雑な承認ルートの設定方法について検証していきます。
具体的には、条件分岐を活用した多段階承認フローの構築や、外部システムとの連携機能、JavaScript カスタマイズによる高度な制御などを試していければと思います。
