生成AI開発を効率化できるDify.aiとは?

目次

概要

Dify.aiは、大規模言語モデル(LLM)を活用したAIアプリケーション開発プラットフォームです。2025年現在、Agentic AI(自律的なAIエージェント)開発の最前線に立つオープンソースプラットフォームとして、全世界で300万人以上の開発者に利用されています。

Backend-as-a-Service(BaaS)とLLMOpsの概念を統合し、ノーコード・ローコードでの直感的な開発環境を提供。開発者が本格的な生成AIアプリケーションを数分で構築できるよう設計されています。クラウド、オンプレミス、AWS Marketplace経由など、多様な環境での実行に対応する柔軟性も大きな特徴です。

OpenAI GPT、Anthropic Claude、Meta Llama2、Azure OpenAI、Google Geminiなど数百種類以上のLLMに対応し、プロプライエタリからオープンソースまでシームレスに切り替え・統合が可能です。

主な特徴と機能

1. ビジュアルワークフロー構築(Agentic AI対応)

Dify.aiは2025年のアップデートで**Agentic AI(自律的AIエージェント)**機能を大幅強化しました。ドラッグ&ドロップの直感的なビジュアルインターフェースにより、複雑なAIワークフローやエージェントを数分で作成できます。非エンジニアでもGUI上で高度な処理を組み立て、プロトタイプから本番環境まで迅速に移行可能です。

2. 高機能RAGパイプライン

Retrieval-Augmented Generation(RAG)を容易に構築でき、ドキュメントのインデックス化からベクトル検索による関連情報の検索・取得まで一貫サポートします。PDF、PPT、Word、Excelなど一般的なドキュメント形式からのテキスト抽出に標準対応しており、社内ナレッジやファイルをAIに組み込んだ質疑応答システムを簡単に実現できます。

3. エージェント機能(外部ツール統合)

LLMの関数呼び出し(Function Calling)やReActアルゴリズムを用いた自律エージェントを構築できます。エージェントには50種類以上の組み込みツール(Google検索、DALL-E・Stable Diffusion画像生成、Wolfram Alpha数式計算等)を追加可能で、ユーザー独自のカスタムツールをプラグインとして拡張することもできます。

4. MCP(Model Context Protocol)対応

2025年の最新機能として、MCPプロトコルに対応しました。これにより外部API、データベース、サービスへの統合複雑性とメンテナンスオーバーヘッドを排除し、HTTP-based MCPサービス(プロトコル2025-03-26)を事前認証済みモードと認証不要モードで利用できます。

5. モニタリングとLLMOps

構築したAIアプリのログやパフォーマンス指標を可視化・分析する機能も備えています。対話履歴やトークン使用量、応答時間等のデータを監視でき、本番運用データに基づいてプロンプトやモデルを継続的に改善可能です。

6. バックエンド・サービス(API提供)

Dify.aiで構築したアプリやエージェントはAPI経由で外部から呼び出し可能で、プラットフォーム自体もあらゆる機能に対応するRESTful APIを提供しています。これによりDify.aiを自社システムのバックエンドに組み込み、ビジネスロジックから高度なAI機能を呼び出すことが容易です。

提供形態・料金

Dify.aiは用途に応じて複数の提供形態を用意しています。

クラウド版料金プラン(Dify Cloud)

プラン月額料金メッセージクレジット/月チームメンバー数アプリケーション数ナレッジストレージ特徴Sandbox(無料)$0200回1名5個50MB(50件)商用利用可、試用・小規模用途向けProfessional$595,000回3名50個5GB(500件)小規模チーム・開発者向けTeam$15910,000回50名200個20GB(1,000件)中〜大規模チーム向けEnterprise要相談カスタム無制限無制限無制限大企業向け、SSO・高度セキュリティ機能

学生・教育機関向け

学生・教員はProfessionalプランが無償提供されています。

セルフホスト版(オープンソース)

GitHubで公開されているオープンソース版は無償で利用でき、Docker Composeによる簡単デプロイが可能です。セルフホスト版では利用回数制限等は一切なく、モデルAPIキーさえ用意すれば自社内完結のAIプラットフォームを構築できます。

AWS Marketplace版(Dify Premium)

AWS上で簡単に導入できるAMI(Amazonマシンイメージ)も提供。ワンクリックで自社VPC内にDify.aiサーバーを立ち上げ可能で、カスタムロゴやブランディング設定にも対応しています。

内容は随時更新されるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。

Dify.aiの利用方法

クラウド版の利用開始

1.Dify.ai公式サイトにアクセスし、始めるを選択。

2.GitHub・Google・メールアドレスのいずれかでサインアップ

セルフホスト版のDocker導入

1.次ののコマンドを順に実行すると、Dify を Docker で素早く起動できます。
※事前にDockerのインストールが必要になります。

git clone https://github.com/langgenius/dify.git
cd dify/docker
cp .env.example .env
docker compose up -d

2.実行後、管理者アカウントを設定します。

アプリ作成手順

今回はWeb版から作成します。
1.画面右上(またはダッシュボード)で 「新規作成」→「最初から作成」 を選択。

2.アプリタイプを選択

  • チャットフロー:チャットUI付き。Q&Aや社内アシスタントなど対話型ならこちら(本記事はこれを選択)。
  • ワークフロー:無人の自動化やバッチ処理、外部API連携のフローに最適。

3.アイコン/アプリ名/説明(任意) を入力

今回はシンプルに以下の設定を入力します。
・アプリタイプ:チャットフロー
・アプリアイコン:任意(例:🤖)
・アプリ名:AIチャットボット
・説明(任意):空欄でも可(後から編集可能)

4.フロービルダーで LLM ノード&ワークフローを設定する

正確性を優先した最小構成で設定します。

設定
・モデル:gpt-4o-latest
・SYSTEM:
  ・温度:0.3
  ・最大出力トークン:800
・メモリ:ON/ウィンドウ
・SYSTEM(プロンプト):

あなたは日本語のFAQアシスタントです。要点→詳細→出典の順で簡潔に回答してください。
不確実なら推測せず、確認先を提案します。出力はMarkdown。

5.公開(Publish)

作成したアプリを利用者に届けるための手順です。
1.右上の [保存] を押してから [公開(Publish)] をクリック。

配布方法を選びます(併用可)。

  • Web App(共有リンク)
    • トグルを ON にするとアクセスURLが発行されます。
    • 必要に応じて「外観(テーマ)」「会話履歴の保存」「アクセス範囲(組織限定/リンク共有など)」を設定。
  • 埋め込み(自社サイトに表示)
    • 表示される 埋め込みコード(iframe) をコピーしてWebページに貼り付けます。
      例: <iframe src="https://<your-dify-host>/apps/<app-id>" width="100%" height="700" frameborder="0"></iframe>
  • API から呼び出し(システム連携)
    • App Key を発行し、エンドポイント(アプリ詳細の「API」タブに表示)にリクエストします。
      例(チャットフローの同期応答): curl -X POST https://<your-dify-host>/v1/chat-messages \ -H "Authorization: Bearer <App-Key>" \ -H "Content-Type: application/json" \ -d '{ "inputs": {}, "query": "プロンプト", "response_mode": "blocking" }'

6.動作確認

右上の プレビュー または発行されたURLで、質問→応答までを確認します。

おわりに

今回で紹介したDify.aiは、複雑なAI開発を誰もが手軽に行えるようにする強力なツールです。
社内ナレッジを学習させたFAQボットや、外部ツールと連携する業務自動化エージェントも、驚くほど簡単に構築できます。無料プランやセルフホスト可能なオープンソース版が用意されており、リスクなく試せるのも大きな魅力です。
今後はRAGやMCP(Model Context Protocol)など様々なDifyの活用事例を紹介できればと思います。

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この記事を書いた人

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